当日、写真展「永遠のレッスン」会場では対談が行われ、光田ゆりさんがとってもていねいに潮田さんから話を聞いていました。
会場には1976年の「微笑みの手錠」から、1996年の「冷蔵庫/ICEBOX」、2017年の「BIBLIOTHEKA 本の景色」、2022年の写真集「マイハズバンド」まで、多くの写真が展示されていました。とりわけ、フレームを使わず壁にとめた「冷蔵庫」のシリーズは圧巻です。
わたしは『脈』という雑誌に「写真集『BIBLIOTHEKA』について」という小文を寄稿したことがあります。島尾伸三さんが書くように勧めてくださったのです。
その時の結論は、おおむね以下のようなものでした。
「潮田写真はときにフェティッシュな傾きを持つことがある。しかし基本的に、意味づけを強制する言葉の暴力から逃れ自由なたわむれの可能性を持つ写真の本質のすぐ近くで悠然とたわむれている」ということです。
『マイハズバンド』でも、日常のすごみもさることながら視線のゆれがたえず写真の「自由」を求めているようです。
潮田さんは本の景色を撮るなかで、父の書斎にも来てくれたことがあります(その時の写真は何枚か写真集に収録されました)。父は蔵書を見てもらえるのが嬉しくてにこにこしていましたが、母は「女流」写真家が父と書斎にいるので妙に落ち着かないようでした。そんな中でも、潮田さんはとくになにか意味を見つけようという様子はなく、淡々とゼンザブロニカのシャッター音を響かせていました。
会場のすぐ近くに見事な河津桜が咲いていました。


0 件のコメント:
コメントを投稿